ベトナムの工業化を支える縁の下の力持ち。 Bando Vietnam の秘密とは?

会社名: BANDO MANUFACTURING (VIETNAM) CO.,LTD.
事業内容:自動車用、産業用伝動ベルト製品の生産・販売
利用サービス:kintone on cybozu.com
利用用途:販売情報管理、見積管理、工場建設管理など

General Director 上田匠美氏

 自動車のエンジンやプリンター等で使用されるベルト製品で世界トップクラスのシェアを誇り世界的に活躍しているバンドー化学株式会社(以下バンドー化学)。そのベトナムでの製造・販売を担っているのがBANDO MANUFACTURING (VIETNAM) CO.,LTD. (以下Bando Vietnam)だ。General Director である上田氏に話を伺った。

 

会社概要

 バンドー化学は今から100年以上前の1906年の創業以来、木綿・ゴム・ウレタンと、素材を変えながらも、一貫してベルト製品を製造してきた。バンドー化学のベルトは自動車のエンジン、オフィスのプリンター、資源開発現場で使われるコンベヤベルトからATMや自動ドアなど我々の生活に身近なものまで、様々な製品に使用されている。バンドー化学の特徴の一つはその世界展開だ。世界十数か国に拠点を設け、世界中に製品を供給している。理由はその対応力だ。

 

例えば、同じ工場用のコンベヤベルトでも、運ぶ対象によって求められるものは違う。別の工場は繊細さを求めるかもしれない。そんなお客様の細かい要求にも、ベルトメーカーのパイオニアであるバンドー化学であれば対応できる。伝動ベルト・コンベヤベルトなどはバンドー化学が日本で初めて開発したものだ。乾式無段変速機(CVT)用ベルトは世界初だ。
 Bando Vietnam は、バンドー化学の販売拠点として2012年にスタートした。2年間の市場調査を経て製造・販売子会社となった。
「Bando Vietnam の強みは、高品質なものをタイムリーに適正な価格でお届けるということです。実際、主要顧客からは品質のベストクオリティ賞をいただきました。非常に光栄に思っています。」(上田氏)
  多くの人に知られているように、ベトナムでは2輪車の需要が非常に高い。Bando Vietnam はその2輪車向けで使用される変速ベルトで国内トップシェアを誇り、ベトナム市場でも売上を伸ばしている。しかしその他の業界向けでも自社の強みを活かして販売を拡大していきたいと上田氏は語る。「ベトナムでは必ず工業化が進んでいきます。そうするとまずは工場でのコンベヤベルトの需要がでてくる。他業種でいうと、例えば農業の機械化です。今の農家は手作業が主なのですが、今後は田植え機等機械の導入が進んでくるはずです。そうするとバンドーのベルトを利用いただくチャンスが広がってくるのです。」(上田氏)

 

「我々は部品メーカーですので、機械化自体の推進は困難です。しかし、市場の流れを掴むことがビジネスの拡大につながります。その時に重要になるのが情報です。だから、市場にいって農家にいってお話を聞くとか、農業機械メーカーの方針を確認するなど、そのような活動が重要になってきます。そのような情報を集めるために営業担当者を多く雇っています。」(上田氏)

活動の見える化で受注件数が倍に!?

 営業担当者が集めてくる情報は経営戦略上、重要なものになる。しかし、営業担当者が 10 名を超えると管理することが困難になった。メールでのやり取りだったため、活動状況を把握できなくなってきたのだ。
「顧客情報を営業担当者それぞれが管理している状態であった為、マネージャーが営業活動の進捗を把握する事が困難でした。」(上田氏)
 最初は、営業情報のエクセルファイルをファイルサーバーで管理をしていた。しかしハノイ・ホーチミン間のネットワーク環境が悪く、利用が進まなかった。また、営業担当者が各自で情報をかかえこんでしまい、全体の把握が困難だった。kintone 導入後、マネージャーが現況を把握し易くなったという。特に活用されている「販売活動における情報管理」「見積管理」、そして日越をまたいだBandoVietnam 新工場建設用の「工場建設管理」をそれぞれ見てみよう。

販売活動における情報管理

 Bando Vietnam の営業活動の一例は、伝動ベルト製品(スクーター用変速ベルトなど)だ。こちらは新車に組み付けられるものと交換補修用の二つに分けられる。
交換補修用部品を実際に顧客へ提供するのは、バイクの修理店となる。修理店でどの製品を顧客に勧めるかが肝なのだ。
 特に、Bando Vietnam のベルトは高価格帯にあたるため、顧客に説明できるように修理店に製品の特長を理解をしてもらうことが重要な活動になる。そこでBando Vietnam の営業担当者は、修理店を定期的に訪問して市場の生の声を収集している。

※車両登録台数4500万台・世帯保有率85%を超えるベトナムの二輪車。ベトナム人の足である二輪車を支えているのはこれらバイク修理店だ。

 これらの情報を、以前はエクセルで管理していた。現在は、営業担当者の活動状況が蓄積されている。どの地域に代理店が多いか・少ないかは一目で把握できる。これをもってディストリビューターとの今後の戦略を練ることができるようになった。

 

見積管理

 「一番効果が大きかったといえるのは見積管理です。今までは見積を提出した案件のフォローができていなかったため、どうなっていたかがわからなかったのです。」(上田氏)
Bando Vietnam では日々大量の見積を提出している。今までは営業担当者が Excel で見積を作成し、独自で代理店に送付をしていた。マネージャーは見積提出前に承認はするものの、その後の経過を管理することができなかった。今は、kintone 上に見積データを登録し、そのデータを印刷している。データには status 項目があり「提出済み」「受注」「失注」が一目でわかるようになっている。

 

※提出した見積のstatusが一目でわかる。営業担当は「on negotiation」をフォローしていく。

 「これによって取りこぼしがなくなった"はず"です。"はず"というのは、見積書には私がサインをしてから顧客に提出しますが、その後どうなったかは誰も追えていなかったからです。正確な事実が以前はつかめていなかったので比較ができません。今は、それが失注したのか、受注したのかを追いかけられるようになりました。」(上田氏)
「事実がわかるようになったということは凄く大きいのです。例えば、失注したことが分かれば、営業担当者にその理由を確認することができます。失注の理由は、もしかしたら営業努力が足りなかったのかもしれないし、値段が高かったのかもしれない、もしくはお客様のところで商談自体がなくなったのかもしれない。失注を把握できるようになったことで、状況の確認ができるようになりました。私たちマネージャー側から営業担当者に"この案件どうなっているの?"と質問できるようになったので、そこが大きいですね。我々の感覚的にも、受注率が高くなったと感じています。」(上田氏)
結果として、ある製品の受注件数が倍以上になる効果がでているそうだ。

 

工場建設管理

 現在 Bando Vietnam は自社工場の建設を行っている。施工を担当するのが出光エンジニアリング社だ。これまでは、出光エンジニアリング社・Bando Vietnam ・バンドー化学本社の3社で情報共有する必要があり、日々大量のメールがやり取りされていた。これを3社で共通のワークスペースをつくり運用を始めたところ劇的に効率化を図ることができた。

 

※建設の進捗。これまではエクセル+写真の週次報告だったのが毎日定点観測をすることで、工事の進捗が一目で把握できるようになった。

※図面管理 図面全体を「A-F」「1-7」で分割することで修正箇所をわかりやすく表記している。

 

今後の展望

 「当社はグループ中長期経営計画の指針の一つとして「グローバル市場戦略の進化」をスローガンを掲げています。アジアを重点市場とし、ベルト事業分野において、アジア市場シェアNO.1を目指します。ベトナムはその戦略の一端を担っており、Bando Vietnamは『Keep Moving Forward 2017!』を今年度のスローガンに掲げ、ベトナム国内のお客様へ販売を拡大し、アジアでの事業展開をさらに加速していきます。」(上田氏)
目覚ましい発展を続けるベトナムの見えないところで Bando のベルトが今日も働いている。

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