日本の技術でベトナムの文化・教育をより豊かに ~日本とベトナムをつなぐコクヨベトナムの文房具~

企業名:KOKUYO VIETNAM TRADING Co., Ltd

業務内容:ステーショナリー製品、家具製品のベトナム国内調達・販売

利用サービス:kintone on cybozu.com

利用用途: 旅費申請、プロモーション管理など

110年以上の歴史を誇る日本最大規模の総合文具メーカー、コクヨ株式会社(以下コクヨ)は2006年11月にベトナムハイフォンで工場を操業した。そして2010年にはベトナム国内販売を強化すべく、KOKUYO VIETNAM TRADING Co.,Ltd.(以下コクヨベトナム)を設立した。

今回はコクヨベトナムの取り組みについてRepresentative Director赤井氏にお話を伺った。

人口約9000万人ながら若い世代の割合が多く所得水準も年々上がっていっているベトナムは、教育熱心な国としても知られている。キャンパスノートを代表に文房具用品を開発・販売するコクヨにとっては大変魅力的なマーケットだ。コクヨベトナムのノートは現地企業のものよりも高価格帯になる。しかしそれでも販売 は、好調に推移していると言う。特徴は、日本独自の技術だ。「日本の会社なので、日本の技術をこちらに持ち込んでいます。」(赤井氏)

キャンパスノートを利用するハイフォンの高校生

日本の技術でベトナムの文化、教育をより豊かに

例えば、無線綴じという技術はその一つである。ベトナムではワイヤーで綴じてあるノートが一般的だ。しかしこれではフラットに開くことができず、また強度が低く破れやすい。コクヨのキャンパスノートが採用している無線綴じとは背中の部分をのりで綴じたノートである。これであればフラットに開くことができ、さらに非常に強い強度を誇る。コクヨのノートは罫線にも工夫がある。普通の罫線にドットが等間隔でついたドット罫というノートで、文字間隔を整たり、フリーハンドで図形が書きやすい。「数学の授業では非常に重宝されております。特にハイフォンの一部の高校ではこのノートが学校指定になっているほどで非常に高いシェアをもっています。」(赤井氏)

ベトナムで人気があるのはキャラクターノートだがその中でも特に人気があるのが「ドラえもんノート」。1992年にベトナムでの第一巻が発売され、「Đôrêmon(ドレーモン)」と呼ばれているドラえもんは、作者である藤子不二雄氏による奨学金制度「ドラえもん基金」もあるほどベトナムの国民的人気者だ。コクヨベトナムは日本の会社であることからこの「ドラえもんキャンパスノート」をベトナム国内で展開している。

日本とベトナムをつなぐコクヨベトナム

2016年、ベトナム政府は小学校3年に学び始める第1外国語として、英語に加えて日本語の導入に取り組むと発表した。初等教育での日本語の導入は世界でも多くなく、東南アジアでは初の試みである。ベトナムでは2003年から中学校において日本語教育が導入されているが、初等教育での導入に伴いさらなる日本語学習者の増大が期待される中、コクヨベトナムは日本語学習用のキャンパスノートも製造、販売している。

「日本語の学習熱が高まってきている中で、ベトナムには日本語、特に漢字練習に適したノートが無かったのが“日本語練習ノート”を製造・販売を始めたきっかけでした。」

コクヨベトナムの日本語練習ノートには、1列に漢字や熟語を練習できるマスがあり一番右側にはベトナム語で意味やメモを書ける欄があり機能的である。

「また、このノートを買ってくださるお客様は日本に興味がある方なので、日本の地方自治体と協力しながら表紙や見返し、裏面で日本各地の魅力を自然に伝えていくという工夫をしています。」(赤井氏)表紙と裏表紙には日本の名所風景、裏表紙にはその都道府県についてベトナム語で紹介することによって日本各地の魅力をベトナムに伝えている。

このようにコクヨベトナムは製品を通じてベトナムと日本をつなぐ役割を果たし、創造性、利便性と高品質をモットーに、主力商品のキャンパスノートに加えファイルやラベルなど有用性の高い商品をベトナム国内で販売している。

書類だけでは見えない活動を可視化したい

日本式の高い技術力・ドラえもん等のブランド力に加えて、キャンパスノートの販売を支えるのはこの現場力だ。コクヨベトナムは本社のあるハイフォンを加えて3つの営業拠点にてベトナム全土での販売活動を行っている。営業先は書店・代理店・問屋・スーパー・デパートなどだ。

国土が広いベトナムであるため、営業担当者は頻繁に出張を行っている。現地では、取引先との販売施策に関する会議や、実際の店舗での陳列・プロモーションなどを行う。しかし、この出張の精算に非常に手間がかかっていた。旅費申請の承認をメールや電話で行っていたため、活動量の増加に伴い出張数が増えてくるに従い処理が煩雑になっていったのだ。そこで利用したのが 「kintone」 だ。まずは営業担当者全員にスマートフォンを支給した。営業担当者は出張後、費用精算の申請を行う。その際には必ず活動のレポートを提出することになっている。このレポートにはその写真から位置情報が取得されており、どの場所で活動をしたかがマネージャー側から容易に把握することができるようになっている。活動情報の蓄積に一役買っている。レポートを作成後、費用申請することで活動と費用を合わせて確認することができるようになった。また、申請内容に関する不明点・不足点もkintoneのコメント欄で確認するため、外出中の営業担当者も対応がしやすくなった。結果として、費用精算処理時間の短縮につながっている。

旅費申請画面

出張スケジュール

導入の決めてはクラウドサービスであるため、イニシャルコストが無く、直ぐ始められて低コストで続けられることだ。「カスタマイズも簡単なので、アイデアを形にして、それをさらに使いやすく改良できる所が大変気に入っています。」(赤井氏)

また営業担当は各訪問先の商品陳列状態を写真に撮り、経費申請に添付することで、どの店舗への出張による経費申請かの証跡を付けることができるようになり、出張報告の役割も果たす。

営業担当者にはスマートフォンを支給。位置情報を取得できるようにしている。

今後の展望

「コクヨの経営理念は“商品を通じて世の中の役に立つ”ことです。ベトナムでも、我々の商品を通してベトナムのお客様のお役に立ちたいと考えております。キャンパスノートを中心に、さまざまな文房具を開発・販売していくことで、ベトナムの皆様に愛されるような会社にしていきたいですね。」(赤井氏)
順調な経済発展を続けるベトナムの背景には勤勉な若者たちの努力がある。

ベトナムの未来を担う若者たちのそばにいるのはコクヨベトナムのキャンパスノートだ。

カテゴリ: VietnamStories_jp, customerstories, VietnamStories